腰椎椎間板ヘルニアの疫学
腰椎椎間板ヘルニアに関する基本情報について記載します。
腰椎椎間板ヘルニアの有病率
腰椎椎間板ヘルニアの有病率に関する詳細な報告はありませんが、米国では毎年人口の1%程度が腰椎椎間板ヘルニアに罹患していると推定されています。
(正確な有病率を算出するには腰椎MRIや脊髄造影検査での確定診断が必要となるため、その実態について把握することは容易ではありません。)
腰椎椎間板ヘルニアが多い年代は?
腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢を調べた報告は多数存在しますが、いずれの報告でも一貫して20~40歳代に多いとされています。
腰椎椎間板ヘルニアは男性に多い
腰椎椎間板ヘルニアの男女比は2~3:1と、男性に多いといわれています。
腰椎椎間板ヘルニアの好発部位は?
好発部位は、一番下の腰椎(第5腰椎)の上下の椎間板(L4/5、L5/S1)に最も多いとされています。
腰椎椎間板ヘルニアと環境因子
重量物の運搬や、車の運転が多い職業の方は、椎間板ヘルニアになりやすいとされていましたが、近年では否定的な論文も出ており、仕事との因果関係は解明されていません。
また、スポーツが椎間板ヘルニアに対して与える影響に関しても、椎間板ヘルニアを誘発するという報告と、椎間板ヘルニアを抑制するという報告が混在しているため、スポーツが椎間板ヘルニアの発症要因になるかどうかは明らかになっていません。
腰椎椎間板ヘルニアは遺伝するか?
腰椎椎間板ヘルニアは、家族集積性(家族の中で同じ疾患や体質が発現しやすいこと)が高いといわれています。
これには、椎間板の構成成分に関する遺伝的要素が関与するといわれており、特に若年発症の椎間板ヘルニアでは、遺伝的素因が強いと考えられています。