帯状疱疹(帯状疱疹後神経痛)の痛みは梅雨時期や寒冷期に悪化する
帯状疱疹の痛み
器質的な痛みは、大きく侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に分けられます。
侵害受容性疼痛は、外傷や炎症などの直接的な侵襲による痛みで、急性の生体反応といえます。(例外的に慢性炎症性疾患や慢性侵害受容性疼痛などもありますが。)
神経障害性疼痛は、障害された神経が異常興奮して痛みを発生します。慢性、難治性の痛みの多くは、この神経障害性疼痛の機序が関与しています。
では、帯状疱疹の痛みはどちらに分類されるのか?
実は、帯状疱疹の痛みは、侵害受容性と神経障害性のどちらの要素も持っています。
帯状疱疹の急性期には、水痘・帯状疱疹ウイルスによる神経の炎症が主体になるため、侵害受容性の要素が強いです。しかし、帯状疱疹の亜急性期〜慢性期には、神経障害性の要素が強くなってきます。厳密にどの時期から神経障害性疼痛になるのかというデータはありませんが、少なくとも発症初期から神経の障害は始まっています。
これは、帯状疱疹の特殊性でもあるのですが、帯状疱疹は急性期から神経障害性疼痛の要素を持っているのです。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹では、水痘・帯状疱疹ウイルスによる神経の障害が起こるのですが、この神経障害の程度によっては、帯状疱疹後神経痛と呼ばれる後遺症が残ることがあります。
加齢(50歳以上)や免疫低下、帯状疱疹発症時の痛みが強い場合には、帯状疱疹後神経痛に移行するリスクが高いといわれています。
帯状疱疹後神経痛では、すでに水痘・帯状疱疹ウイルスの活動は低下しているのですが、水痘・帯状疱疹ウイルスによって障害を受けた神経が痛みを生じ、神経障害性疼痛の病態を呈します。
帯状疱疹後神経痛の痛みには個人差があり、違和感程度のぴりぴりした痛みから日常生活に支障をきたすほどの激痛まで程度はさまざまです。いずれにしても、残存した帯状疱疹後神経痛は、治療が難しく、長期に渡って痛みに苦しむことも珍しくありません。
帯状疱疹関連痛の“痛みの波”
これは、帯状疱疹に限ったことではありませんが、神経痛全般に関して“痛みの波”があります。
天候の悪い時期や寒い時期には、帯状疱疹の痛みが増悪することがよくあります。これには交感神経系の働きが関与しているのですが、普段は帯状疱疹の痛みが気にならない程度に良くなっていたとしても、季節の変わり目や梅雨の時期にだけ帯状疱疹の神経痛が再燃することがあります。
厳密には、これを帯状疱疹後神経痛と表現するのか議論のあるところですが、完治した(ように思った)帯状疱疹の痛みが梅雨時期や冬季にだけ再燃するといった症例を日常診療でも多く経験します。
帯状疱疹関連痛の追加治療
しかし、この“痛みの波”のリズムやサイクルがわかれば対応も簡単です。
痛くなる時期やタイミングで、痛みの治療を受ければ良いのです。例えば、梅雨の時期や寒い時期には痛くなるから、その期間だけ痛み止めを使おう、神経ブロック療法を受けよう、といった具合です。
帯状疱疹の痛みは非常に厄介なもので、一度は治ったように思えても、しばらくしてから痛みが再燃することもあります。
痛みを記憶してしまわないためにも、追加治療を行うことが大切です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当院は、大阪市中央区のペインクリニックです。
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-4-5 御堂筋ビル8F
大阪メトロ(旧大阪市営地下鉄)心斎橋駅から徒歩1分